ここでは、当事務所に寄せられた質問等と実際に担当した業務の一部を集めてみました。
雑多かつあまり有用ではない内容ばかりかもしれません。
随時更新してまいります。

ご質問・事例等々

Question-1
父親が死去しました。母は既に亡くなっています。
子供は、私(姉)と妹の二人です。
父名義の不動産を私が相続することで妹と話しがついています。
市町村の窓口から取り寄せる書類を教えてください。
また、名義変更の登記注1をご依頼する場合の費用はお幾らになりますか?
注1)所有権移転登記(原因 相続)

Anser-1
この度はご愁傷様です。
以下の書類が必要となります。
お父様の出生から死亡時までの戸籍
お父様の戸籍の附票等(必要に応じて)
お姉様と妹様の戸籍、妹様の印鑑証明書
お姉様の住民票の写し

不動産の固定資産税納付書
こちらは毎年4月から5月頃に市町村から郵送されてくる書類です。
冊子のようになっている場合があります。
もし見つからないようでしたら、市町村の窓口での取得も可能です。
なお、遺産分割協議書という書類を作成する必要がありますが、当職が文案を作成してご提示いたします。

名義変更の登記=所有権移転の登記手続の参考見積書です。
正式な見積書はご面談・打合せの上でご提示申し上げます。


Question-2
住宅ローンの支払いが終わりました。
抵当権の抹消の登記手続きをお願いしたいのですが、どんな書類が必要となりますか?
また費用はどのくらいかかりますか?

Anser-2
ローンの完済、おめでとうございます。私も経験がありますが、このときの達成感といったら言葉に表せないくらいのものがあります。

まず、銀行などの金融機関から下記の書類が送付されていることを確認してみてください。
抵当権設定契約証(名称が異なる場合もあります)兼登記済証兼解除証書
または抵当権解除証書+登記識別情報
金融機関等発行の委任状
他、閉鎖事項証明書などが同封されている場合がありますので、金融機関から送られてきた書類一式を当職にお渡しください。
※ よくお分かりにならない場合には、当職が確認させて頂きますので、大丈夫です。

次に、ご依頼主様の住所が変わったり、苗字が変わったりしたことはありませんか?
抵当権を設定=多くはローンを組んだ際の住所が変更となっていたり、苗字が変わったりしている場合には、抵当権の抹消登記の申請の前提として、ご依頼主様の登記上の住所や苗字(氏)を変更する登記が必要となる場合があります。

抵当権抹消の登記の参考見積書です。
土地と建物に抵当権が設定されていた(=抵当権がついていた)場合を想定してます。
正式な見積書はご面談・打合せの上でご提示申し上げます。
また抵当権抹消の登記申請手続きの流れはこちらをご参考ください。


Question-3
連れ合い(妻)が殺されました。犯人は相続人です。
現在は刑が確定し、某刑務所に収監中となっています。
そこでなのですが、その連れ合いの名義の土地を私(一方の配偶者の方)の名義にしたいと考えております。なお、他の相続人とは私の名義にすることで話がついています。
登記申請をお願いできますか?

Anser-3
本当にお気の毒な出来事です。
被害に遭われた方・犯罪を犯してしまった方も親族同士ということですね。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。

不動産の名義をご依頼主様の名義する場合、他の相続人の方との合意がなされている場合には、遺産分割協議書を作成して、相続人全員の方にご署名とご捺印(実印注1)をいただいた上で印鑑証明書を添付し登記申請の際の書類として提出することになりますが、収監中の相続人の方をどうするか・・・ですね。
遺産分割協議書に、収監中の方の署名と拇印をしてもらい、その署名と拇印の証明のため、刑務所長等の奥書を添付するという方法もありますが、今回は民法第891条相続人の欠格事由 に該当する事案でありますので、この相続人の欠格事由に該当する書面を添付して登記申請の手続きをしましょう。
注1)単純に相続人全員の方の実印と記載

後日談
検察庁への照会と打合せ、裁判所への問い合わせ(刑事事件を担当された弁護士の先生にご依頼)、管轄法務局への照会等を経て、やっと決着した登記手続きでありました。
また、相続の対象の土地は複数の管轄法務局に存在しており、各法務局で見解が異なることもありましたので、事前照会の他、上申書等を提出しました。
滅多にない経験をさせていただいたご依頼主に感謝申し上げますとともに、事例を掲載させていただいたことに御礼申し上げます。


Question-4
昨日役所から通知書が届ました。私の父親が亡くなったそうなので、遺体の引き取りと葬儀の手配等を実施してほしいとの内容が記載されています。
私が小学生のときに両親は離婚し、その後父親には約30年も会ったことがなく、父親の相続を放棄したいと考えております。
亡くなったのは今から約半年前。役所の担当者(生活保護課)が居住先のアパートを定期訪問した際、遺体を発見したとのことです。因みに管轄警察署でDNA鑑定をし、発見された遺体は私の父親であることを確認しました。

Anser-4
家庭裁判所に対し、相続放棄の申述をする必要があります。
今回のケースでは、民法で規定している『熟慮期間』を超える事例ではありますが、『熟慮期間』の起算点(はじまり)が論点となるかと考えます。
役所からの通知書、その後の役所担当者とのやり取り等を記載した〔上申書〕を添付することにより、対応するようにしたら如何でしょうか。

具体的な流れは下記になるかと考えます。
① 相続放棄申述書の記載と必要な添付書類等の手配
添付書類としては
被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
申述人(ご依頼主)の戸籍謄本
被相続人の方の出生から死亡の時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
※原本であっても複写(コピー)でも可です。
※状況によって、提出する書類は異なる場合があります。
➁ 申述書提出後、回答書が送られてくるので、その回答書をご自身で回答・記載して家庭裁判所に返送してください。
 なお、『熟慮期間』が過ぎていることを家庭裁判所から指摘されるかと考えます。回答書で、その理由を具体的に記載し、役所からの通知書と上申書を添付して家庭裁判所に返送していただくことになるかと存じます。

司法書士は相続放棄の申述を代理することはできません。裁判書類作成業務については、弁護士法第72条との関係・過去の判例の立場等もあります。
ご相談ベースとなりますが、申述書の作成サポート等は執り行わせていただきます。


Question-5
被相続人 と 相続人の違いを教えてほしい。

Anser-5
被相続人とは、お亡くなりになられた方であり、その方についての相続人の構成を検討する際、その方を被相続人と表現します。
その逆・・・被相続人の親族であり、かつ法律で定められた範囲の者を相続人といいます。
配偶者 : 片方の配偶者がなくなった場合、もう片方の配偶者は、原則として相続人となります。
第一順位の相続人 : 被相続人の子供以下の世代の方です。(法律では、被相続人の直系卑属と表現します。)
第二順位の相続人 : 被相続人の親以上の世代の方(法律では被相続人の直系尊属と表現します。)
第三順位の相続人 : 被相続人の兄弟姉妹等・・・すなわち ごきょうだいの方です。
ここで、第一順位の相続人の方が存在する場合には、第二順位と第三順位の方は相続人とはなりません。第一順位の相続人が存在しない場合に、第二順位の方が相続人となり、第一順位と第二順位の方が存在しない場合に、第三順位の方が相続人となるわけです。

配偶者は原則として相続人になる。と記載しました。相続人は以下のような組み合わせになります。
① 配偶者 + 第一順位の相続人
② 配偶者 + 第二順位の相続人
③ 配偶者 + 第三順位の相続人
各順位で配偶者を除いたグループしか存在しない場合には、そのグループのみが相続人となります。
例えば ①で配偶者がいない場合には、第一順位の相続人のみが相続人となります。
配偶者は、各順位の相続人と同順位の相続人となる。というわけです。


Question-6
私(85歳)の家族構成は、妻(79歳)と子供3人です。
長男(55歳)は家業である農業を継いでもらってます。
二男(52歳)は、市内で会社員をしています。長女(49歳)は県東に嫁いでいます。
私が亡くなったあと、できれば家業を継いでもらっている長男に不動産は相続させて、他の預貯金等は子供3人で均等に分配してもらいたいと考えております。
そこで、遺言書を作成したいのですが、ある方から、遺言書は裁判所での手続きが必要になるようなことをお聞きしました。
私としては、子供達には余計な手間を掛けさせたくないと思っております。
またその方は、遺言書を作成する際、結構なお金がかかるとも言ってました。遺言について教えていただきたいのですが・・・。

Anser-6
遺言な要式行為であり、民法の定める方法に従わなければなりません。原則として法律行為の方法は当事者間で自由に決定することができるのですが、遺言は遺言者の死亡後に効力が発生するものであり、死亡後に遺言者の意思を確認することも無理ですし、遺言書の偽造や変造の危険もあります。そこで民法は遺言の作成方法について一定の方法を要求することにより、遺言の存在の確保、遺言者の真意の明確化、遺言書の偽造や変造の防止を図ることにしています。
遺言は、普通方式による遺言と特別方式による遺言とに分けられます。このうち一般的(本来の方法)である普通方式による遺言には
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
の三種類があります。

ご質問内容のうち、『遺言書は裁判所での手続きが必要』とは、家庭裁判所での検認手続きです。この検認手続きが必要となるのは〔自筆証書遺言〕と〔秘密証書遺言〕になります。したがって〔公正証書遺言〕については、検認手続きは不要です。
また、〔自筆証書遺言〕であっても、遺言書保管制度を利用することにより、検認手続きは不要となります。
次に『結構なお金がかかる』というのは、〔公正証書遺言〕とする場合かと推察します。確かに〔公正証書遺言〕は証人2名以上が必要となりますし、手数料がかかってしまうということもありますが、法務大臣がに任命された公証人の方が関与する方式のため、色々な面で安心感がある。ということにもなります。

以上、ご質問いただいた内容の回答全部をご紹介することは差し控えますが、ご興味のある方は当事務所までご連絡ください。

参考文献
平成30年11月5日 新訂版発行
新訂 設問解説 相続法と登記
幸良秋夫先生 著


Question-7
土地の売却を考えています。注1登記簿を確認したところ、昭和12年注2に亡くなった方の名義になっているようです。(ご依頼主は親族ではあるが、面識も全くない方とのことでした。)
相続の登記をお願いできますか?
なお、ネットの情報を確認しながら、相続関係説明図を作成してみました。
戸籍も収集済です。
注1)道路拡張工事のため工事主体に売却予定とのこと
注2)誤記のため修正

Anser-7
戸籍をすべてお預かりさせていただき、相続人の調査を実施させていただきました。当然ながら機密保持・守秘義務の観点から具体的な情報等を開示することはできないので、文章のみの解説となってしまいますが、被相続人の方は10人きょうだい。きょうだいすべての方はお父様(実父)と前妻の子供であり、前妻の方は死亡しております。
後妻の方がいらっしゃるようです。実父と後妻さんとの間には子供はおりません。また被相続人にはお子さんはおりません。

被相続人が死亡した当時=相続開始時点では、旧民法が適用されることになります。したがって後妻さんは被相続人の方の『継母』となります。
旧民法第728条では、継親子関係が成立した場合の法律関係を『継父母と継子・・・との間においては親子間に於けるのと同一の親族関係を生ず』と規定がされています。
したがって、この事例では、実父である方と継母である方が被相続人の相続人となります。

しかし・・・これだけで終わりではありませんでした。
家督相続、応急措置法、新民法(昭和37年改正前後)、新民法(現在の適用範囲)等々を検討し、相続人の調査と相続関係説明図を作成させていただきました。
不謹慎かもしれませんが、古い戸籍の調査=パズルを解くような感じで私自身は好きな作業でもあります。(すみません・・・)


Question-8
なぜ年中無休なのですか?
法人ではなく個人事務所規模では無理があると思いますが・・・。

Anser-8
当事務所では後見業務をさせていただいております。
被後見人(ご本人様)が入居されている施設様・入院先様・親族様からの連絡が受けられるように年中無休を謳っている次第です。そこまですることはないとおっしゃられる方もおいでになるかと思いますが、当職のこだわりもございますので・・・笑
もちろん後見だけではなく他の業務も実施しております。
ご理解いただけましたでしょうか?